最近の私は、四角や三角の木の塊を積み上げることに夢中だ。
先月、はじめての誕生日に父から贈られたその木の塊は
「積み木」と呼ぶらしいが私はまだ正確に発音が出来ない。
私は積み木の感触、木目、匂いを目や手や舌で存分に味わう。
特に木目を撫でていると吸い込まれそうな感じがする。
よく観察した後で床に置く。積み木の指示に従って向きや位置を調節する。
そうやって一つづつ、並べ重ねていく。
積み木の注文は細かいので、なかなか完成しないが
その甲斐あって、出来上がりは見事なものになる。
造形はもちろん、輝き・木目・影……すべてに均整が取れたすばらしさ。
ああ、この美しさを言葉にできないもどかしさよ!
「言葉を獲得した頃には、その美しさを忘れているよ」と積み木は言うが、本当だろうか。
そんな思索も母の一声で台なしになる。
「お片付けしましょうね」
《Oboe》