「あれ? ピベラ・デュオガ・ハソ・ヘリンスセカ・ド・ピエリ・フィン・ノピメソナ・ミルイ・ド・ラセ・ロモデェアセ・スペルイーナ・ケルセプン・ケルセプニューナ・ド・リ・シンテュミ・タルヌヂッタ・レウセ・ウ・ベリンセカ・プキサが煙草吸ってる」
少女に言われて長い名の絵かきは苦笑した。
「キナリの前で煙草を吸うのは、はじめてだったね」
「いつから吸ってるの?」
「キナリが生まれるより前だよ……でも毎日吸うわけじゃないんだ」
「なんで?」
絵かきは、ちょっと憂いた顔をした。
「うまく絵が描けた時、お星さんやお月さんに、見てもらいたくて…煙に託すんだ。託すってわかる?」
少女は絵かきの吐いた紫煙を目で追った。
「煙なら、空まで届けてくれるかなと思って……いや、思いたいんだ」
終いは独り言のようになりながら絵かきは夜空を見上げた。
その煙は、しっかりと月に届いている。おかげで月は喫煙家になったのだから。