2005年6月10日金曜日

A MOONSHINE

月明かりに照らされて、黒猫は、緑に輝いた。
彼に尻尾はない。それは少女が持っている。
〔キナリ、そろそろ尻尾を返してくれ〕
と少女に言った。
少女は、手にした尻尾と黒猫を見比べた。
「返してって、コレくっつくの?元通りに?」
〔今晩ならば〕
黒猫は断言する。
「尻尾が元にもどったら、ヌバタマはどこかに行ってしまうんでしょう?」
〔そのようには、ならない。ただ…こうして喋ることは出来なくなる〕
少女は安堵の表情を浮かべた。
「わかった」
月明かりに照らされて、黒猫の尻尾は少女の手を離れた。
黒猫は、少女の前を気取って歩く。
尻尾があることのほかは、昨日の晩とまるで同じ。

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