「だってそうだろ?花は雨が降らなきゃ咲かないんだぜ」
子供は大きな針を握りしめて、外へ出た。
一つ目のオバケちゃん。
足枷のランナー。
どこにでも花はあった。
要塞の中に花、階段の中に花、僧侶の戯れ事に花。
オバケちゃんは見ている。銃口を。
ランナーは走る。兵士を従えて。
コカコーラを飲むマフィア、爆弾を抱えて飛び回る天使、荷物を運ぶミイラ。
子供の握り締めていた針は、いつの間にか花になっていた。
一輪の花を傍らに置いて寝転がり、牢屋の天井を見る。
ここはなんて酷いところだろう。雨も降らない。雲の上だから。星も見えない。星の外だから。
「あぁ、見てごらん。飛行機が墜落するよ」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「天国で見る夢」佐々木マキ 1967 をモチーフに