2004年11月19日金曜日

送る

「苦しい」と言って影はマフラーを取ってしまった。
影がマフラーを取っても僕のマフラーは僕の首に巻かれたままだけど、影マフラーは北風に乗って飛んでいった。
マフラーが影マフラーに付いて行きたいがるのを、僕は必死で抑えた。だって僕はマフラーをひとつしか持っていないから。
次の日、マフラーは凍ったように冷たかった。
僕はマフラーをもってビルの屋上に上がった。
影マフラーと一緒になれることを願いながら、マフラーを投げた。