2026年3月19日木曜日

暮らしの140字小説63

三月某日、曇。家中の鏡を磨く。洗面所、姿見、いくつかの手鏡。霧を吹き、拭き上げると期待以上に綺麗になった。鏡の中の顔は変わり映えないどころか年を経る一方なのに。一番小さな古い手鏡を磨き終え、外を見ると窓硝子が今まさに暴風雨に曝されたかのように汚れていた。鏡が羨ましかったとみえる。