2018年1月8日月曜日

豆本の世界5

 世界中に本が溢れかえり、神と呼ばれるものは考えた。世界の構成単位を本にすればよい、と。
 海が書かれた本は海を満たすのに十分存在したし、山についても同じだった。炎も金属も、不足ない本があった。
 生物についても問題なさそうに思われたが、生物を生み出すには通常の本では大きすぎることがわかった。「ならば」神は決めた。「豆本で生物を構築しよう」。
 森羅万象は本であり、血肉は豆本である。自分を探す旅をしたい少年少女は、顕微鏡で自らの髪や爪を読破することに没頭している。