2017年11月28日火曜日

十一月二十八日「お父さん」

夕方の駅前通り、「お父さん」と大きな声がした。私の見える範囲だけで、四人の男の人が一斉に振り返った。そして、また歩き出した。
今振り返った人たちは、みんな誰かの父なのだな。
ふと、「お父さん」と呼んだ人はどんな人なのか気になった。呼ばれた「お父さん」がどんな人なのか、も。今更だけれど、私も振り返ってみた。
ほんの一瞬で、辺りはだいぶ暗くなったようだ。後ろを歩く人々の顔や恰好はよく見えなかった。まあ、いいや、早く帰ろう。宵闇の駅前通りを右に曲がった。