懸恋-keren-
超短編
2016年5月6日金曜日
五月六日 空き缶を拾う
コロコロと転がってきた空き缶を拾ったら、厳密には空き缶ではなかった。中に雷神様が入っていたからだ。「出してくれ~」と声がするので、どうにか振って、引っ張って、雷神様を出す。手乗り雷神。
缶が古びたので、新しい缶に住み替えたいと雷神様は言う。「お好みの缶はありますか?」というと「麦酒」という。私がビールを買いに行っている間、雷神様はひと暴れし、夏が近づいた。
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