超短編
図書館の椅子に腰掛けようとしたら、足元に落ち葉が落ちていた。赤く色付いた葉。
今しがた立ち去った人を目で追いかけると、そうと知らなければ気がつかないほど控えめに、
はらり……はらり……と、落ち葉をひとひらずつ落としながら歩いていた。
姿勢のよい、白髪交じりのご婦人であった。