「お願いします。もう少しだけ、長くして下さい」と、猿が己の尾を撫でながら、創造主に懇願する。
「弱ったなあ、あと少しだけ」。むむむむと何事か唱えた。
すると、森で一番高い木のてっぺんに尾を掛けてぶら下がると地面を舐められる、それくらい猿の尾は長くなった。
「もう少しだけ、もう少しだけ」
猿は赤い顔をもっと赤くして更に懇願した。
「ええ、まだ延長するのかい?……これ以上は、うどんになるけど、構わないかね?」
創造主は念を押す。
「はい、何でもいいですから」
ぬぬぬぬぬと何事か唱えると、猿の尾の先端は讃岐の国に到達して、おじさんがこれから食べるうどんのどんぶりにぽちゃんと入った。
これからおじさんはうどんを辿る旅に出る。