懸恋-keren-
超短編
2012年1月8日日曜日
猿の言葉
山から降りて町で暮らしたその猿は、一部の人間により町を追放されることになった。
猿が唯一覚えた人語は、「猿が去る」というものだったので、申年の年末までは町に居住することを許された。
次の申年まで覚えていられるだろうか、と不安に思った猿だが、それをうまく表明できないまま町を去った。
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