懸恋-keren-
超短編
2011年12月2日金曜日
魚捕りの名人川獺とずるい狐
どうしても、川獺は褒められると弱いのだ。
何が情けないって、狐のお世辞や煽てに騙されること。
浮かれた隙に捕まえたばかりの魚を盗まれるのだ。
川獺は友達にも聞いてみた。やっぱり、褒められると盗まれるという。
「今度は狐をわざと褒めてみようかしら」と川獺は思っている。
「嘘でも褒められたら、あの狐もきっと照れるだろう。照れたら盗むのを忘れるかもしれないよ」
とてもよい思いつきだ、と川獺は思った。
川獺は嘘が苦手だということをまだ自覚していない。
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