天王星の軸が大きく傾いていると知ってからというもの、かの惑星と同じ名の少年ウラヌスは、ごろごろと転がって移動するようになってしまった。
学校へ行くときも、サッカーをするときも、横になってごろごろと転がる。
父が叱り飛ばしても、母が説得しても、友人が心配したり馬鹿にしても、ウラヌスはごろごろと転がる。
いつのまにか、横になったままで勉強し、横になったままハーモニカを吹くようにもなった。
猫も鼠もウラヌスと仲良くなった。話がしやすいのだ。とはいえ、猫も鼠もウラスヌが変わり者だということは、よくわかっているようだった。ほかにそんな人間はいないもの。
そんなウラヌスの噂が当の天王星にまで及び、天王星は、その地球人の子供のことが、気になって仕方がない。
ちょうど地球がよく見えそうな位置に来たとき、天王星はえいやと起き上がって、覗いてみようと思う。
ちょっと天文の事情が変わるかもしれない。
今日は鳥獸蟲魚の生態をおやすみして、唐突に書き下ろしました。
「天王星の音」を聴きながら。