「さて、結婚式が迫ってきた」
お月さまはウキウキと楽しそうだ。
「結婚式に呼ばれているのですか。どなたの?」
「決まっているじゃないか、キミのだ」
よくよく訊いてみれば、そして、それはいくら訊いてもよくわからないのだが、ともかく、お月さまというのは、月の夫、ということらしい。
つまり、「月の人」を継ぐにあたり、結婚の儀式が必要なのだ、と。
銀河からの手紙に返事を出した覚えはない、と反論するが、お月さまの手には「YES」と書かれた葉書があった。
見飽きるくらいに見慣れた、そして好きではない筆跡で。