懸恋-keren-
超短編
2011年2月9日水曜日
自分によく似た人
喫茶店で珈琲を運んでくれたウェイターの手。
「あーした天気にしておくれ」と、下駄を飛ばす子供の足。
「え? よく聞こえないよ」と、口元に寄せられた老人の耳。
「出発進行」の運転手の声。
今日出会った人々は、すべてどこかが自分によく似ていた。
ベッドに入ると、体がバラバラと分解されていくような感覚に襲われた。
睡眠の海に溺れて、集めることができない。
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