眠れずに寝返りばかり繰り返していると、机の上に並んだ星たちも同じように、コトリコトリと動いていることに気がついた。
なんだかザワザワとした夜なのだ。こんな夜は、何か起きるのかもしれない。
玄関のチャイムが鳴る。
心臓を掴まれたような驚きの片隅に「ほら、来た」としたり顔が現れる。
冷たい床をつま先立ちで歩き、ドアを開けると、羊が居た。
「あの、ご入用ではありませんか?」
「あ、そうですね。はい。是非必要です」
羊は、背負った大きな袋を置いた。
「昼過ぎに取りに来ますから、玄関先に出しておいて下さい」
「料金は?」
「星をひとつ、いただけますか?」
星は喜んで羊について行った。
袋の中には、大量の小さな羊のぬいぐるみ。もちろんウール100パーセントだ。
眠くなるどころか楽しくなってしまうかと思ったが、実によく出来ている。
八十七匹数えたところまでしか覚えていない。
「星の終わりに」へ拍手をくださった方、どうもありがとうございました。
「星の終わりに」なんてタイトルあったっけ? と検索してしまいました。
古い作品まで遡って読んでくださっているとわかると、とても嬉しいです。