この都市は一年に10cmの速さで沈んでいる。
ふかふかの火山灰の上に建てられたビル、ビル、ビル。
10cmというのは「火山が沈黙していた場合」だ。火山が爆発して灰が降れば、この限りではない。
よその町からは「どうしてそんなところに街を作るんだい?」と訊かれるが、
「ここが我々にとって心地よい場所だからだ」としか応えようがない。
「どうしてビルが倒れないんだい?」とも訊かれれば
「火山灰に垂直に沈むよう計算されつくしているからだ」と答える。倒壊の恐れは、ほとんどない。
今年はまたずいぶんと火山灰が降った。
我々は既に地上にいるよりも火山灰に埋もれている時間が長くなった。
近頃は、息をすると苦しい。我々の子は、空気を呼吸する必要がなくなるであろう。そうあるべきと、我々の親は望み、この都市を作った。
この都市が沈みゆくのを刮目せよ。我々は、地球の澱となる。
いさやん
砂場しゃん
あきよさん
三里さん