懸恋-keren-
超短編
2002年7月6日土曜日
コーヒーゼリー
ママの作ったコーヒーゼリーはいつも僕には苦かった。
だから、僕はいつもたっぷりホイップクリームをのっけて食べた。
ママはそれを見て
「ごめんね、もっと甘くすればよかったね。」
となぜだかちょっぴり悲しそうな声で言うんだ。
ママは甘いのが好きじゃなかったんだね。
コーヒーゼリーは、唯一ママが作ってくれるお菓子だった。
僕はもう大人になって、ママはいなくなって、世界は一度終わりをみた。
嗚呼、最後にコーヒーゼリーを食べたのはいつだろうか?
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