液体が、結晶のようになってしまう街なのだろうか。
そんなのは困るではないか、水はどうする? 飲み水は? シャワーは?
「消えず見えずインクの旅券を持つ者に、飲み水を与える者はおらぬか!」
ずっと黙っていた青い鳥が突然叫んだ。確かに、泣き疲れて喉が渇いている。
青い鳥の声も少し枯れているようだ。
心にも体にも力が入らなかったから、 歩くのは諦めた。
青い鳥の声を聞いて、水を持ってくる人でも現れたら幸運だし、そうでなければもう少しここにいよう。
ベンチに座って、あたりを見渡す。涙が固まってしまったこと以外には、特に変わった様子はない。ここは、緑の多い公園のようだ。ケヤキの樹を見つけて、老ゼルコバを思い出し、また涙が溢れる。
ポロリと大きな涙粒を拾い上げる。透明で、光にかざすと輝き、本当にガラスのようだ。この街の雨がこんなふうに硬かったら困るではないか。
「涙はしょっぱいですから、これをどうぞ。喉が渇いているんでしょう?」
涙粒を観察していたら、透明な飴玉のようなものを差し出された。