俄にかき曇り、瞬く間に大粒の雨。私は高い塔から雲の様子を眺めていた。
遠方で数頭の長頚鹿が空を仰ぎ見ている。
そこに、とりわけ黒い雲があらわれ、長頚鹿を一頭、また一頭と、産み落とした。
長頚鹿は、大きな群れとなり、喜びを溢れさせながらどこかに消えていった。
横浜マリンタワーにて
2015年6月30日火曜日
2015年6月23日火曜日
六月二十三日 忠実な扇風機
寝ている間だけ、扇風機使おう……と横になった午後。スイッチを入れても扇風機は動かない。
ウサギ曰く「ほんとに寝ないと動かない。『寝てる間だけ』って言ったから」。
なかなか寝付けない午睡。
ウサギ曰く「ほんとに寝ないと動かない。『寝てる間だけ』って言ったから」。
なかなか寝付けない午睡。
2015年6月20日土曜日
六月二十日 天の恵み
天から米が降ってくるという予告があった。そういえば、そろそろ米が少なくなってきた。「どこから見ているのだろう?」と思ったけれど、天から見れば一目瞭然である。さもありなん。
ともかく明日は米が降る。大笊小笊、取り揃えて米を待つ。
ともかく明日は米が降る。大笊小笊、取り揃えて米を待つ。
2015年6月14日日曜日
2015年6月4日木曜日
2015年6月1日月曜日
デイジー・チェインソー
派手なチェインソーを背負って、恋人が待ち合わせ場所にやってきた。繁華街を歩く人たちは、誰も気に留めていないようだけれど、ぼくに手を振る姿を見て、逃げ出そうかと一瞬思う。
交番のお巡りさんが、彼女を一瞥した。ひやりとしたけれど、お巡りさんの視線は、すぐに彼女を通り過ぎた。
チェインソーの刃は、よく見れば花なのだった。赤や、ピンクや白の、小さな花が並んでいる。
彼女は嬉しそうにチェインソーのエンジンを勢いよく掛けた。街に似つかわしくない轟音が響き、花と香りのシャワーがぼくたちに降り注ぐ。
「結婚しよー!」
叫んだのは彼女だった。拍手が起こる。プロポーズの先を越されてしまって、ぼくは戸惑う。ポケットの中の指輪を弄びながら困っているぼくの頬に、彼女がキスをした。しま
った、また先を越された。
2015.6 架空非行11号
交番のお巡りさんが、彼女を一瞥した。ひやりとしたけれど、お巡りさんの視線は、すぐに彼女を通り過ぎた。
チェインソーの刃は、よく見れば花なのだった。赤や、ピンクや白の、小さな花が並んでいる。
彼女は嬉しそうにチェインソーのエンジンを勢いよく掛けた。街に似つかわしくない轟音が響き、花と香りのシャワーがぼくたちに降り注ぐ。
「結婚しよー!」
叫んだのは彼女だった。拍手が起こる。プロポーズの先を越されてしまって、ぼくは戸惑う。ポケットの中の指輪を弄びながら困っているぼくの頬に、彼女がキスをした。しま
った、また先を越された。
2015.6 架空非行11号
登録:
投稿 (Atom)