懸恋-keren-
超短編
2015年5月20日水曜日
五月十九日 輪ゴム
その輪ゴムを踏んではいけません、と美しい人に言われて、飛び退けた。足元に、輪ゴムがあることすら気づいていなかったのだから。
「輪ゴムであり、輪ゴムではありませんが、輪ゴムです」
輪ゴムは、緑色をしていた。ただ落ちているように見えて、意思を持ってそこにあるような気がした。
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