超短編
靴屋で靴を選んだ。あれこれ試しに履いてみて、ようやく一足決めると、ほかの靴たちが迫ってくる。
「おれもかえ」「おれもはけ」「おれもかえ」「おれもはけ」
「靴は一足しか買わないよ!」と叫ぶと、今度は靴下が迫ってきた。
この靴屋は、靴屋だが靴下もたくさん売っているのだ。
迫り来る靴下を振り払いながら、勘定をし、店を出た。