超短編
踊り踊るなら、提灯の数を数えるのはやめておいたほうがいい。
と、アイスキャンディーを食べながら、甚兵衛姿の少年が囁いた。
「え?」と振り返ったら、水鉄砲の攻撃を受ける。
顔が濡れたまま、踊りの和に入った。数えない、数えないと思っているのに、いつのまにか、踊りながら提灯の数を数えている。
「丸丸商店街」の文字が網膜に焼きつく。「1、2、3、4、5……」
何の唄が流れても、炭坑節を踊ってしまう。