迫り来る闇の中に駆け込んだクリーニング店。
店員は引き換えの紙切れを片手に、おびただしい数の衣類を掻き分けている。
いつまで経っても私のワンピースは出てこない。
店員はズボンを取り、紙切れをにらめっこをし、ズボンを戻す。
店員はコートを取り、紙切れとにらめっこをし、コートを戻す。
私は不安になり、「ワンピースです」と小声で言う。
すると一斉にワンピースがドサドサと床に落ちた。
店員は「黙っていてください……」と申し訳無さそうに、だがキッパリと言う。
私のワンピースは、あらゆるワンピースの下敷きとなっていた。
息を切らせてワンピースを掘り出した店員の顔は、夕闇と同化して目鼻が見えない。