懸恋-keren-
超短編
2006年8月14日月曜日
氷の世界
姫の歌は、声になる前にすべて凍りつき、氷の珠になって白い大地を転がった。
ぼくはどうしても姫の歌を聞きたくて、珠を拾って胸に抱いたけれど、それはぼくの想いでも体温でも溶かすことは出来ない。
姫は歌い、ぼくは歌を抱く。
何も聞こえない。
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