2025年12月24日水曜日

暮らしの140字小説54

十二月某日、雨。他に客のいないバスに乗っていると真っ白なケースに入ったチェロがひとりで乗り込んできた。あんまり寒そうなので帽子とマフラーをあげた。「よく似合ってる」と言ったら喋り出した。「今夜はクリスマスコンサートなんです」とチェロが言う。「誰に弾いてもらうかは、自分で決めます」