2025年7月8日火曜日

暮らしの140字小説24

七月某日、快晴。駅前を歩いていると何かを蹴っ飛ばした。黒い小さな何かが勢いよく滑っていく。追いついて見ると小判型の簡素な機器であった。拾い上げ開いてみれば「372」の表示。まだ幾らも歩かぬうちに飼い主とはぐれてしまったと思しき万歩計にゴメンと謝って、近くのベンチの真ん中に座らせた。(140字)