超短編
和紙の層に刃を入れます。「小口」と名を得たその断面は鋭く整い、しかし、ふんわり空気を含んでいます。しばし見惚れた後は切り離された紙片の中でとりわけ細い――糸のように細いものを――つまみ上げ「ふ」と息を吹き掛けます。すると、ごく偶に青葉が舞います。ごくごく稀に小さな蝶が飛んでいきます。
+++++++++++予選通過 佳作受賞