超短編
誰も住んでいないように見える古いアパートの玄関前で、洗濯機が唸りながら揺れていた。数時間後、再びアパートの前を通ると、洗濯物はどこにも干されておらず、洗濯機は低く唸り揺れて続けている。私は家に一度戻り、使い古したハンカチを持ってきた。洗濯機に近寄ると、コンセントもホースも繋がっていない。蓋を開け、がらんどうの洗濯槽にハンカチを落とした。洗濯機の唸り声が僅かに高くなった。