超短編
大切なティーカップが割れた。紅茶を入れたまま、微かに「ピキッ」と鳴いて、真っ二つに割れた。よい香りの水溜りが広がる。捨てられず、いつも通りに棚に仕舞った。翌朝、棚には二つの小ぶりなティーカップがあった。割れたのではない。分裂し、ペアになったのだと理解した。今日、初めて恋人を招く。