2020年2月6日木曜日

色眼鏡

ふんわりと、暖かい毛布に包まれたような心地がする。
このままこうしていたいと思ったけれど、それはあっという間に終わってしまった。

目を開けると、目の前は海だった。 波打ち際にいる驚きの前に、身体を点検した。
心地よかったとは言え、炎の中に入ったのだ。

火傷する暇は本当になかったようだ。
肌も服も、焦げ跡ひとつ見つからなかった。
肩に留まっている青い鳥もしげしげと見てみたが、無傷だ。青い鳥の美しさに初めて気が付いた気がする。こんなに輝く羽の持ち主だったのか……。

目の前の海も眩しすぎるほどの青い海。大きな波音。鳥も負けずに青さを主張している。

腕まくりをする。暑い。眩しい。ここは南の島なのだろうか。
「サングラスが欲しい」と呟くと、すかさず青い鳥が叫ぶ。 
「消えず見えずインクの旅券を持つ者に、色眼鏡を与える者はおらぬか!」