懸恋-keren-
超短編
2018年10月26日金曜日
秋深まる
午睡から覚め目の前にあった掌、肌理がよく見える。
粗く、見慣れない、自分のものとは思えない、中年の掌。
自分のものでないなら、その筋は誰か歩いた道かもしれない。微細な虫が歩いたかもしれない。
いや、やはりこれは自分の掌だ。四十回近い数の秋を過ごした掌だ。
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