2018年9月25日火曜日

雨の日のドライブ

 父に誘われて、土砂降りの雨の中、車に乗った。
 ワイパーが追い付かないほどの雨、どこに行こうというのだろう。
「こんな雨じゃないと見られないから」
 と言って、水たまりの雨水を酷く撥ねながら車は走る。
 着いたのは、大きな貯水池だった。水面に雨が激しく叩きつけられている。
 その水面、ところどころで、ポンっと一瞬、顔のようなものが現れ、沈んでいくのが見える。見えるような気がする。
「……あれは何?」
 父は
「子どもの頃から、死んだてるてる坊主だと、俺は思っていた」
 と言い、しばらく黙って眺めていた。
「帰るか」
「うん」
 家に着く頃には、雨が止み、日が差し始めていた。