超短編
老人が書き残した古代の仮名は、「ワ」と「リ」と「イ」だった。
何を謝っているのだろうか、と考えながらの帰り道、四人の知らぬ人に「スミマセン」だの「失礼しました」だの謝られて、
益々持って意味がわからない。あまり謝られてばかりいるのも不安になるものだ。
おもわず「ただいま」というところを「ごめんなさい」と言ってしまった。