ウサギが何やら葉っぱを体中にくっつけて帰ってきた。
「茅の輪、くぐってきた」と言う。たまには気の利いた冗談を言うものだ。
こちらは、虹色の輪をどうやって作るか、一日中悩んでいた。
明日から七月。
「ポテト怪人が取り憑いているぞ」と、ハンバーガーショップでフライドポテトを絶え間なく食べる私に、ウサギは言った。
「まあ、じゃがいも好きだし」と言いながら、フライドポテトを食べる。
数時間後、夕食の支度を始めて迷わずじゃがいもを手に取る。
「ほら、ポテト怪人が取り憑いてる」
「取り憑いているって、どこに?」
ウサギは私のくるぶしを指さした。
両肩両手に四つの荷物を持っているところへ、蚊に刺された。右の踝に三箇所。
猛烈に痒みに襲われるが、手は伸ばせない。
「掻いてくれ!」とウサギに頼むと、やおらウサギは踝を舐め始めた。
痒いのとくすぐったいのと気色悪いので身悶えする。
さっき買った卵が割れたら、お仕置きだ。
ボール紙が厚くなる一方だった。
「私は薄いボール紙が欲しいのだけど」というと手に持っていたボール紙はズシンと硬くなり、厚みを増すのだ。
これは天邪鬼だと思って、「やっぱりボール紙は厚くなくっちゃね」と言ってみたら、やっぱりズシンと硬くなった。
どうにか薄いボール紙にしようとしたが、とうとう3mmの厚さになった。
もう鋸で切るしかないなと思ったけれど、出してきた鋸は錆だらけだ。