2014年6月30日月曜日

六月三十日輪っか

ウサギが何やら葉っぱを体中にくっつけて帰ってきた。


「茅の輪、くぐってきた」と言う。たまには気の利いた冗談を言うものだ。


こちらは、虹色の輪をどうやって作るか、一日中悩んでいた。


明日から七月。



2014年6月25日水曜日

六月二十五日 ポテト怪人

「ポテト怪人が取り憑いているぞ」と、ハンバーガーショップでフライドポテトを絶え間なく食べる私に、ウサギは言った。


「まあ、じゃがいも好きだし」と言いながら、フライドポテトを食べる。


数時間後、夕食の支度を始めて迷わずじゃがいもを手に取る。


「ほら、ポテト怪人が取り憑いてる」


「取り憑いているって、どこに?」


ウサギは私のくるぶしを指さした。



2014年6月21日土曜日

六月二十一日大黒様

大黒天のお守りを財布に入れた。


「窮屈ではありませんか?」とお伺いを立てるが、ニコニコと笑みを絶やさない。


もしかしたら、こっそりしかめっ面をしているかも、と思って意味もないのに小銭入れを覗く。


 



2014年6月20日金曜日

六月二十日 覚悟

「お前に貝塚を作る覚悟はあるのか?」と、天使に詰め寄られた。


「高く聳えるやつを作るよ」と言った。


「それなら、まあ、いいだろう」と天使はどこかへ行ってしまった。



2014年6月16日月曜日

六月十六日 この道

徒歩三十分の道、いつまで通うかわからないけれど、馴染みの道になるように道草いっぱいして歩こう。


ウサギはそれでも心配だという顔をして付いてくる。本当はご褒美のコーラが目当てなのはわかっている。



2014年6月11日水曜日

六月十一日 痒いから

両肩両手に四つの荷物を持っているところへ、蚊に刺された。右の踝に三箇所。


猛烈に痒みに襲われるが、手は伸ばせない。


「掻いてくれ!」とウサギに頼むと、やおらウサギは踝を舐め始めた。


痒いのとくすぐったいのと気色悪いので身悶えする。


さっき買った卵が割れたら、お仕置きだ。



2014年6月9日月曜日

六月九日 マドレーヌが嫉妬

マシュマロのことを考えながらマドレーヌを食べていたら、マドレーヌがヤキモチを焼いた。


ほんのり焦げておいしかった。



2014年6月4日水曜日

六月三日ボール紙のプライド

ボール紙が厚くなる一方だった。


「私は薄いボール紙が欲しいのだけど」というと手に持っていたボール紙はズシンと硬くなり、厚みを増すのだ。


これは天邪鬼だと思って、「やっぱりボール紙は厚くなくっちゃね」と言ってみたら、やっぱりズシンと硬くなった。


どうにか薄いボール紙にしようとしたが、とうとう3mmの厚さになった。


もう鋸で切るしかないなと思ったけれど、出してきた鋸は錆だらけだ。