2013年11月13日水曜日

奇行師と飛行師9

突然、飛行師の身体が持ち上がった。上空へ高く高く。喜ぶ奇行師と蝸牛男を尻目に飛行師は騒ぎ出した。
「オレは飛んでいない!」
蝸牛男が下を覗きこむと、鯨の格好をした人間か、もしくは人間の格好をした鯨が吹いた潮によって、一行は吹き上げられているのだった。
「やめろ!鯨怪人!」
「鯨怪人? 奇行師の知り合いなのか?」
「祖父の叔父の従兄の上司の息子だ」
奇行師は鯨怪人に、赤いハイヒールを投げつけた。