超短編
ある朝、目が覚めると昨日練習した楽譜からすっかり音符がこぼれていた。
慌てて僕はバイオリンを構えて、調弦もそこそこにその楽譜のメロディーを弾いてみたけれど、音符は楽譜に戻らない。
それでも音符は音になりたくてうずうずしているから、思い切って部屋のドアを開けた。
すると、音符たちは嬉しそうに表へ出て、お行儀よく行進し始めたのだ。
僕は音符たちの後をついてバイオリンを弾いた。通りを歩く皆が手拍子してくれた。とびきりご機嫌の朝だ。