懸恋-keren-
超短編
2011年10月16日日曜日
鼬鼠の踊り
腹が減った鼬鼠は、いつもの俊敏さをすっかり失ってしまう。
失うのが俊敏さだけならよいのだが、恥も外聞もなくなり、あろうことか獲物の前で、「腹減った音頭」を踊り始めてしまうのだ。
鼬鼠に食われる動物たちも、これについてはよくよくわかっていて、
鼬鼠の踊りに合いの手を入れ、手拍子を打ち、大いに盛り上げる。
空腹と疲労で目を回すのを見計らって、鷹に合図をする。
鷹は軽々と鼬鼠を咥えて飛び上がると、鼬鼠の「腹減った音頭」をそっくり真似しながら旋回するのだ。
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