懸恋-keren-
超短編
2007年10月18日木曜日
パラボラアンテナ危機一髪
真夏の陽射しを一身に受けた巨大なパラボラアンテナを見つめる少年がいる。
「ぼうず、そんなに見つめちゃ、眼に毒だぜ」
真っ白なパラボラアンテナは太陽を最大級に反射させながら少年の様子を窺う。少年は汗だくになりながら白い玉を弄んでいた。
「あのボールをオレにぶつけようってのかい?ぼうず、オレを傷つけたら厄介だぜ。なにしろ国の威信をかけた大事業。宇宙との交信。その最前線のオレだからな」
だが少年はボール遊びのことなんか、これっぽっちも考えちゃいない。彼の好物は目玉焼きである。
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