超短編
雨のビート。同心円に広がる水の高まり。雨粒が水溜りに作る波を見つめる。その波紋の中心から宇宙船が出でくると長い間、信じていた。どこかで聞いたおとぎ話だと思っていた。今、真剣な眼差しで小さな宇宙船を水溜りに浮かべる恋人に傘を差し掛ける。静かに沈む宇宙船。おとぎ話なんかじゃなかった。