超短編
立ち寄った古い喫茶店に黒電話があった。娘は初めて見るという。着信表示がないのは「怖っ!」だそうだ。「案外、誰からの電話かわかるものだよ」というと疑いの目。「お客様宛てに懐かしい人から掛かってくることがありますよ」と店主が言った途端、ベルが鳴り響く。娘が「おじいちゃん?」と呟いた。