古いが由緒ある喫茶店で、私は一人、紅茶を飲んでいた。人の気配を感じて顔をあげると、ウェーターではなかった。
男は、「I国の家具商人です」と名乗った。
I 国には縁もゆかりもない。
男は、「I国の家具商人です」と名乗った。
I 国には縁もゆかりもない。
「こちらへどうぞ」
有無も言わさぬ気配で導かれ、店内を歩く。この喫茶店はこんなに広かっただろうか。しばらく歩き、中二階のような場所へ案内された。
「こちらのテーブルです。貴方は必ずお気に召すでしょう」
「こちらのテーブルです。貴方は必ずお気に召すでしょう」
必ず、とはなんという決めつけだろう。
薄暗い照明の中、あらためて目を凝らすと、重厚な木製のテーブルの真ん中に……池、いや、これは海だ。
目立った生き物はいない。藻やプランクトンのような微小な生物が漂っている。光を当て、時が来れば、もしかしたらもっと大きな生き物が出てくるかもしれない。そんなふうに見えた。
目立った生き物はいない。藻やプランクトンのような微小な生物が漂っている。光を当て、時が来れば、もしかしたらもっと大きな生き物が出てくるかもしれない。そんなふうに見えた。
「お気づきになりましたね。これは原始の海です。このテーブルを買えば、貴方は、そう、神になる」