超短編
読書家の蛙におすすめの散歩コースを教えてもらいたい。
初めて会う人には、ハチャメチャな肩書とヘンテコな名前の名刺をニッコリ笑って渡したい。
雨の日には、軒先にたくさん吊るした色が変わる飴玉を眺めて過ごしたい。
もしも身体が小さくなったら、豆本を持ってフラスコの中に入り、硝子に閉じこもって読書したい。
煙突の中で昼寝して、全身よーく煤けたのちに、夜の散歩に出掛けたい。
怖がりで人見知りのお化けを電柱の影から「ワッ!」と驚かせたい。
ロボット合体シーンを現実に、ミニチュアサイズで見てみたい。
鏡のようなピカピカの服を着て、歓楽街の真ん中でネオンライトを浴びながら踊りたい。
細密画のような髪の毛になれるなら、腰まで伸ばしてみたい。
大泥棒と大泥棒にそっくりな巡査部長が企てた四月一日に実行する悪戯に参加したい。