懸恋-keren-
超短編
2018年8月17日金曜日
読書の秋始め
八月の湿度が下がった日、本に秋の始まりを告げる。
よく手を洗い、温かいお茶を淹れ、お茶請けの菓子を用意し、本棚から本を一冊選び、椅子に座る。
一口、茶をすすり、パラパラと本を捲る。
夏の湿った空気を吸って重たくなっていた本が、秋の呼吸を始める。本棚の本たちも一斉に秋の訪れに気が付くのがわかる。
お茶を飲み、菓子を食べ、本を一章ほど読んだところで、羊毛のはたきで本棚の埃を払う。これで本棚の秋支度が済んだ。いよいよ読書の秋の始まりだ。
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