あまりの暑さに、日傘が溶けた。
まず、布地が溶けた。チリチリと縁から縮み、それから一気にズルリと骨から垂れ下がり、地面に落ちて、アスファルトの上で「ジュッ」と音を立てた。
そのまま骨だけの傘を差してしばらく歩いていたが、とうとう骨も溶けた。
意外にも、中骨から溶け始めた。なんとなく持ち手が軟化してきたような気がすると思ったら、突然グニャグニャになった。
親骨は傘の形を保ったまま、頭に落ちてきた。慌てて傾けると、ぼとぼとと親骨は外れ、八本の親骨は、二本ずつ四組になって、まるでヒトの足のようにスタコラサッサとどこかへ去っていった。
次は私が溶ける番だ。