2018年2月11日日曜日

豆本の世界 8

国家にはそれぞれ固有の豆がある。国が増えれば新種の豆が誕生し、国が滅びるということは、ひとつの豆が絶滅することを意味する。
その国の一番大きな図書館の奥深くに、国の豆のすべてが書かれた小さな本がガラスケースに収められている。豆の品種名や詳細な栽培方法、おいしい食べ方が細かな文字でびっしりと記されている豆本だ。
その豆本もまた、国が生まれ、中央図書館が建てられるといつの間にか現れる。
図書館の館長が豆本の誕生を王に報告する儀式は、王の戴冠式よりも盛大に行われる。