2015年4月17日金曜日

夢 透明なキャリーバッグ

私は旅行会社でキャリーバッグを借りる。保証金5400円を払う。無事に返せば戻ってくるという。

キャリーバッグは透明のプラスチック製で、100円ショップで売っているドキュメントケースを巨大にしたような代物である。ちゃちなキャスターが付いている。頑丈さに不安を覚える。キャリーバッグの中には、歯ブラシやらコップやら、歯磨き機能が満載であった。ジェットウォッシャーや水のバッグもついていて、水道がないところでも使える仕様らしい。

結局、私はキャリーバッグに荷物を入れることができなかった。大きなボストンバッグとその歯磨き用透明キャリーバッグを抱え、バスに乗る。人々の視線が痛い。やはり荷物を入れたほうが歯磨き用具は目立たなかったか……。

駅に着くと、乗り換え電車の時間がないことが判明、バスを飛び降りる。電車に乗ったら、行き先が違った。慌てて降りる。キャリーバッグがない。バス停に戻る。運転手に訊ねようと乗り込んだら、その途端バスは走りだした。キャリーバッグは交番に届けたという。5400円は戻ってこないかもしれないな、と思いながら諦めてシートに尻を沈めた。


2015年4月12日日曜日

四月十二日 柏餅

柏餅の葉をめくったら、小さな手が入っていた。小さな指を押し開いたら、やっと柏餅が入っていた。
よかったよかった。ちゃんと入っていてよかった。
手はそこらへんに置いて、柏餅を食べ、お茶をすすっていたら、手はいなくなっていた。
身体に戻っていればよいけれど。


2015年4月8日水曜日

四月五日 かくりよ

拍手は四回、だが音はない。音はないが、耳を澄ます。懐かしい声が聞こえる。



2015年4月1日水曜日

四月一日 印度菩提樹

インドの紙は、インドの匂いがする。その紙を触った私の手は、やっぱりインドの匂いがする。


インドの匂いを嗅いだ私の鼻は、何やら悟りをひらいたらしく、さっきから荘厳なくしゃみを連発している。