超短編
初めてマンゴスチンを食べた日、大切な物をマンゴスチンの殻に仕舞うと長持ちすると先生は言った。一番仲の良い人形に今日からここがあなたのベッドだと話すと、少量の魔法で殻を大きくし、器用に身体を畳みマンゴスチンの殻の中で眠るようになった。首の向きも脚の角度も私には真似できない美しさ。
目覚まし時計が鳴る10分前、部屋は爽やかな香りで満たされ、薄っすらと覚醒を始める。そろそろ目を開けてやろうかと思う頃、頬にひんやりとしたものがぐりぐりと押し付けられる。唇に落ちてきた酸っぱい雫を舐め完全に目覚める。鳴り始めるアラーム。おはようレモン、今日も起こしてくれてありがとう。