超短編
ポケットから次から次へと家を出して、素敵な街並みを作りたい。(30字)
眠れない幼子のために、森に伝わる古い子守歌を老いた狼に歌ってもらいたい。(36字)
風呂の湯が塩辛いので、涙の理由を聞きたい。
見上げても夜空に吸い込まれて終わりの見えない長い長い梯子を登りたい。(34字)
知恵の梟が編纂した百科事典を夜の森に買いに行きたい。(26字)
おしゃべりな煙が出てくる壺を骨董市で買いたい。(23字)
羊毛の上着がとても暖かくて羊に礼を言いたいので、まず羊語を習いたい。(34字)
どうしてもトラックを滑らせたい氷を説教してくれと雪だるまに頼みたい。(34字)